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2024ヴィンテージの収穫までを振り返って

2024.11.10 | WINERY

元日の地震により波乱の幕開けとなった2024年。梅雨入り後から続いた高温多湿など様々な困難を乗り越えて、過去最大量の収穫を実現。

2024年は10月に入ってもなお夏日を記録するなど、厳しい残暑が続きました。8月27日から始まった葡萄の収穫もいよいよ大詰めを迎え、10月5日と6日にはカベルネ・ソーヴィニヨンの区画をもって栽培する全ての畑で収穫作業が完了しました。今年は8月下旬~10月上旬にかけて秋雨前線の活動が活発化し、氷見市も雨に見舞われる日が多くありました。収穫も雨雲の動きを読みながら進められ、病害のリスクを避けるために苦労したシーズンとなりました。

今年は3月下旬から気温が高まり、昨年よりやや早い4月7日~18日に萌芽を迎えました。展葉は4月15日~30日までにすべての品種で完了。4月も平均気温が高くなったことで、前年と比較しても1週間程度早い生育スピードとなりました。芽吹いた葡萄の木から新梢とよばれる今年の枝がどんどん伸びて、次々に葉を広げていく展葉期。里山の自然のなかで、畑はたちまち瑞々しい葡萄の新緑に覆われ、ワイナリーらしい景色へと変わっていきました。

開花は5月末日~6月15日まで続き、全ての品種で結実を確認しました。降雨日が比較的多いにもかかわらず結実はとても良好で、結実後の肥大も昨年より1週間程度早い生育スピードとなりました。6月21日の梅雨入り後は、氷見市でも不安定な空模様が続き、6月、7月はともに月の約半分が降雨日にあたる湿潤な状態に。このため葡萄の手入れはもちろん、下草や摘芯(※1)後の副梢(※2)の伸長も旺盛で、例年より畑の手入れに多くの時間を割く必要がありました。

 

(※1)葡萄の新芽や若枝の先端を取り除き、過剰な茂りを抑制する作業 (※2)新梢と葉の間から出てくる芽

7月下旬には、果房が一粒ずつ色づくヴィレゾン期が始まりました。今年は7月22日にピノ・ノワールで確認したのを皮切りに、25日にはメルロ、28日にはシャルドネ、30日にはソーヴィニヨン・ブランと各品種で順調に色づき始め、ヴィレゾンのタイミングとしては昨年に次ぐ早さとなりました。黒系の品種では青みがかった緑色から薄赤色~濃赤色へ、白系の品種では透明感のある黄緑色へ、畑のあちこちで約1ヶ月間に渡って葡萄が衣替えをするような様子が見て取れました。

8月27日から始まった収穫は、雨の合間を縫って行われました。今年は6月から続いた多湿状態のためカビによる病害や害虫の発生が目立つ区画はあったものの、例年よりも慎重に防除などの対策を講じたことが実を結び、ほぼ全ての品種で昨年比の120~200%程度収穫量を増やすことができました。なかでも、2019年に開墾した十二町の畑のシャルドネは昨年比の600%増となるなど、成長過程にある若い樹が育ったことで、過去最大量を収穫することができました。

11月、丘の上も秋が深まり、収穫を終えた畑には静けさが戻ってきました。葡萄の樹も紅葉が進み、茶色く枯れて落葉し、やがて枝ばかりの姿になって冬の休眠期に入ります。醸造棟では、仕込みを終えたワインが樽の中で熟成の時を過ごしています。まもなく訪れる雪の季節を前に、農園スタッフは道具のメンテナンス、畑の草刈り、剪定に向けた準備などに勤しんでいます。再び芽吹く春に向けて、次のシーズンへの取り組みはもう始まっています。