SAYS FARM

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NOTE

厳しい暑さが育んだ、豊かなワイン。

2024.06.02 | WINERY

記録的な猛暑と少雨、過酷な環境下でも収穫量は大幅にアップ。これまでの取り組みが形になった、2023ヴィンテージ。

2023年10月、朝晩の気温が下がり、丘の上にもようやく秋の気配が漂いはじめました。ここ数年は氷見市でも年間の平均気温が高く推移し、2023年は9月中旬に入ってもなお真夏日を記録するなど、厳しい暑さが続きました。「日本には、もう秋は来ないのではないか」と思うほどに、長かった去年の夏。農園スタッフは、災害級と表現されるほどの危険な炎天下で、畑の管理に苦しんだシーズンとなりました。

7月の梅雨明け以降、氷見市内では晴天が続き、夏の降水量が極端に少ない状況が続きました。記録的な少雨は農作物にも深刻な影響を与え、野菜や米などの品質低下や不作といった被害も見られました。暑さや乾燥には強いとされる葡萄も、2023年は日照時間が長かったことから、一部の畑では実が焼けたり、葉が枯れたりといった状況も見られ、こまめに散水を行うなど収穫期に向けて気の抜けない日々が続きました。

そうした過酷な環境下でも、畑の葡萄は比較的順調に成長し、8月25日にはこの年はじめての収穫作業が行われました。年々葡萄の成熟スピードが早まり、果実味が全面に現れていく傾向にあるなか、青さやシャープな酸味が持ち味のソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョ、シャルドネなどの白葡萄、果皮が薄く繊細なピノ・ノワールは、特に暑さによる影響(過熟)を考慮し、これまでの経験で最も早いタイミングでの収穫となりました。

2023年は病害対策の改善に取り組み、病気の発生を最小限に抑えられたこと、ヴェレゾン(着色)期以降は雨の影響をほとんど受けなかったことから、全ての種類で品質は良好なものとなりました。また、数年前に植樹した磯辺、十二町の畑の若い葡萄も順調に成長し、安定して実をつけるようになったこともあり、全体の収穫量も大幅にアップ。これまでのさまざまな取り組みが、成果として現れたヴィンテージになりました。

2024年は元日から強い地震に見舞われたものの、醸造棟の設備やワインの樽などに被害が及ぶことはなく、6月1日には2023ヴィンテージでは初めてとなるソーヴィニヨン・ブランが無事リリースとなりました。2023年を象徴する暑さがそのまま現れたワインは、熟した柑橘の果実香、滑らかな口当たりと穏やかな酸、厚みを感じる豊かな仕上がりになっています。早飲みワインならではのフレッシュな味わいを、ぜひお愉しみください。